滋賀医大ニュース - page 11
きるようになりました。
少しずつ病理診断の重要性が認識さ
れるようになってきてはいますが、 常
勤の病理専門医がいない病院も多いた
め、 例えば術中迅速診断が必要な手術
日に病理専門医の派遣を要請するな
ど、 多くの病院では非常勤の病理専門
医や外注検査に頼っています。
病理専門医のいる医療機関は全国に
約500施設、 その内約300施設で
は、 たった一人の病理専門医が医療安
全や精度管理などに配慮しながら、 限
られた時間で多数の病理診断を行うと
いう過酷な業務を担っています。 がん
診療連携拠点病院を見ても、 病理専門
医が不在の病院が372病院中
48病院
(
13%) を占めています (2009年9
月1日現在) 。
病理専門医不足を招いた原因の一つ
は、 病理専門医の認知度が低かったこ
とだと思います。 一般市民だけでなく、
医療従事者や医学生にもその重要度は
あまり認識されていませんでした。 病
理学は日本では基礎 の一部になっ
ていますが、 医学教育の中の位置づけ
も曖昧であったため、 臨床 として
の病理実習は5~6年生時に短時間
行われるだけ 、 なかなか関心を持っ
てもらえなかったということもありま
す。 今後の医学教育では、 グローバルス
タンダードとして、 臨床実習の時間数
の増加が求められているの すが、 病
理学と法医学の実習を 「臨床実習」 とし
て組み入れる動きも一部 大学で始
まっ います。
病理診断 病理専門医の
より安全で適切な手
て医療の質を確保して
理専門医をどのように育成
が、 今大きな課題となってい
当科では学内の病理学講座をはじ
め、 国内外の施設とも協力して医学
や研修医の教育に取り組み、 一人でも
多く病理専門医を育成するよう努め
いきたいと思っています。 今後は、 病理
専門医を目指す若い先生が集まりやす
い雰囲気と、 働きやすい環境づくりに
も取り組み、 病理診断の大切さやその
魅力をもっとアピールしていきたいと
考えています。
昨年、 高校生を対象に体験授業を
行ったところ、 医学部を目指す受講生
からは 「 を初めて知っ
た感想が寄せら
学生時代に 「病理医
日本医事新報社) とい
ことが、 病理専門医を目指
となりました。
日本の病理診断業務は少人数の病
専門医で広い範囲をカバーしなけれ
なりませんが、 専門性を発揮し、 得意分
野をもつことも重要です。 私は特に消化
管病理を専門とし、 骨軟部腫瘍に興味を
持っています。 他分野の専門家もこれか
ら採用しようと計画しています。
「臨床情報をしっかり踏まえた上で、
マクロからミクロそして遺伝子レベル
まで病気を俯瞰する」 ということをモッ
トーにやってきましたし、 それが病理診
断学の面白さだと考えています。
SHIGA IDAI NEWS vol.25
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