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臨床看護学講座(小児)教授 桑田弘美
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SH I GA I DA I NEWS v o l . 2 4
希少
希少難病の患者さんと家族を対象に
生活実態調査を実施
FO P (
F ibrody spl a s i a os s i f i c ans
progressiva
:進行性骨化性線維異形成
症) は、 小児期に発症し全身の筋組織で
成長とともに骨化が進行して、 身体の変
形や運動障害が進む疾患で、 発症率は
200万人に1人と推定される希少難病
です。 
主な症状である異所性骨化は、 本来、
骨の形成が起こらない筋肉やその周囲の
膜、 腱、 靭帯などが硬くなって骨に変わる
ことで、 皮膚の下が腫れたり、 熱や痛みを
伴う “フレアアップ” という症状を繰り返
しながら骨化が進みます。 外傷や手術、 生
検など きっかけとなってフレアアップ
が起こることもあります。
日本では2007年に難治性疾患克服
研究事業に指定されましたが、 医療者の
間でも知名度は低く、 有効な治療法は確
立されていません。
小児看護学の教員として、 看護実習な
どの際に、 病棟で難病のお子 んを抱え
るご両親のお話を聴く機会が多
く、 在宅ではどのように過ごさ
れてい のか気になっていまし
た。 実際どのようなことに困っ
ておられるのか、 看護師の立場
で支援できることはないか、 難
病患者団体に問い合わせ、 様々
な難病のあるお子さんの実態調
査をしていたことが研究のきっ
かけに りました。
そんな時、 FOPの患者?家族
会の方が、 私たちのことを知っ
てほしいと研究室に来られまし
た。 全国に名簿上で約
30名おら
れる会員の患者さんの中から、
17歳から
51歳までの
10組の患者
さんとご家族にインタビュー調
査を行い、 その逐語録をデータ
として質的記述的方法で分析し
たものが、
「FOP患児の生活実態調査」
(平成
22~
24年度科研費挑戦的萌芽研究)
です。 
少しでも多くの方々にFOP患者さん
とご家族の実態を知っていただくため、
研究成果を学会などで発表したところ、
医療者にもほとんど知られていない希少
難病であることに驚くとともに、 看護師
による支援の必要性に賛同する声が多数
寄せられました。
桑田弘美教授が研究
ケアの開発を目指したア
25年度科学研究費補助
金基盤研究Bに採択されま
アの負担を軽減し、 患者さんの
いて、 桑田教授にお話をうかがい
臨床看護学講座(小児)教授