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大学の機能強化
中国体彩票app官方下载学長 
馬 場 忠 雄
本学は、 1974年
10
月1日に創立され、 学則
第一条に 「広く知識を授け
るとともに、 有能にして
医の倫理に徹し、 かつ旺
盛な探究心を有する臨床
医及び研究者を育成
ことを目的とし、 もって医
学教育水準の向上を通じ
て社会の福祉に貢献する
ことを使命とする」 と銘
記されました。 以来一貫し
てこの理念のもとに学生
の教育の質の向上と医学研究の推進、 また、 附属病院の機能を充実し、 先
療や高度医療を担い、 地域中核病院として寄与してきました。 全国にある
86
国立大学法人の組織である国立大学協会 (国大協) は、 今、 国民に対する約束
として、 国立大学の機能強化を目指し、 国立大学の存在意義を強調すること
を各大学に求めています。 財政運営の厳 いなか、 教育研究基盤経費であ
運営費交付金は税でまかなわれており、 機能強化に取り組むことを明確にし、
国立大学に対する国民の理解と支持を得ようとするものであります。
1.国立大学における機能強化
平成
16年に法人化後、 各大学は第一期6年間の中期目標 ?計画を立て、 その年
度計画にしたがって、 実績を積み上げ、 毎年実績報告書にまとめ、 評価を受けて
きました。 各年度の評価に加えて、 第一期6年間の総合評価を受けました。 法人
化後、 国立大学の時代にはなかった計画、 実行、 評価など、 いわゆるPDCAサ
イクルにより業務を行い、 また、 財務は、 損益計算書やキャッシュフローなどによっ
て公表することになりまし 。 すなわち、 国からの運営費交付金を基盤として、
入学金や授業料、 科学研究費、 産学連携などによる外部資金の獲得や附属病院
の収益による収入で教育、 、 診療
、業務など全てをまかなっています。
国税から支出され
療、 業務、 財政など全
せられ、 社会に対して
開を行うことになってきま
ぼる運営費交付金に対して、 各
した。 すなわち、 国立大学として
これに対して、 国立大学は、 優秀な人
究の推進による国際的な貢献、 さらに地域
ベーションの推進や地域医療の最後の砦として
とを示す必要があるのです。
そこで、 本年6月に国大協総会において、
「国立大学の
―国民への
約束― (中間まとめ) 」 が提案され、 承認されました (表
して強化すべき機能と機能強化のための方策 (
http://www.janu.jp
参照) があ
げられ、 各大学はこれらを基本に機能強化に向けて取り組み、 その
られることになりました。
機能強化のための具体的な方策の事例として、 学部、 大学院研究科の共同設
置、 コンソーシアム?事務連携、 東日本大震災を教訓とした防災?復旧?復興に
する連携、 大学資源の共同利用、 国公私立を含めた複数大学?機関の連携、 大学
独自の機能強化の取りまとめ
計画 ?方針の策定などがあげられています。
機能強化の現状
間の第二期中期目標 ?計画を立案するに際して、
約して、 大学の教育 ?研究の質の向上、 附属病院における高度
また業務運営の改善及び効率化については、
組織戦略を
コスト効率化戦略を立て、 さらに、 環境保全の維持
ジェ
技術の創出」 にま
ることにしま
を実施する方策として具体
ており、 実施状況を以
模擬患者 また、す。
ります。 第一期から今年の論文数をみると、 やや増加傾向にあり、 今
ることを期待しています。 産学連携については、 MRI下の低侵襲
中心に幅広く行われており、 外部資金の獲得も多く、 順調に
臨床応用が期待さ ます。
療科において、 特徴のある臨床実績をあげており、
が国でも高い評価が得られている高度医療で
ていますが、
さらに充実することが望まれます。
スター発表会や宿泊研修などによりボト
た、 キャリアマップを明確にし、 その支
ところであります。
の派遣、 医療支援チー
医療支援を国立大学間の連
科大学 ? 医学部による被
予定であります。
ており、 学 大学の
わが国は、これまで、長期にわたる経済の停滞や財政構造の悪化、少子高齢化の進行な
ど、活力の再生が求められる困難な長期的課題に対峙していました。今や、私たちは、こ
の度の東日本大震災により、自然に関する人類の知識とそれを活かす人の力は未だ不十
分であることを確認させられ、地震?津波?火山噴火、あるいは異常気象などによる自然
災害への備え、資源?エネルギー、食料の安全で安定的な確保、社会的インフラストラク
チャーのあり方など、地球規模で解決していかなければならない多くの緊迫した課題に
直面しています。
わが国が直面している課題は、世界のすべての国の安全?安心の保障と持続可能社会構
築のプロセスに直接影響する現代社会の構造的課題でもあり、世界各国は、日本が現下
の困難をどのように克服するのか、日本は新たな価値社会を建設することができるの
か、固唾を呑んで見守っています。
国立大学の機能強化
-国民への約束-
わが国が直面しているこの厳しく、困難な状況を克服して、安全かつ安心な社会を構築
するには、とりわけ、未来への希望が何よりも必要とされるこの時期においては、社会の
あらゆる分野において知の継続的な革新を図り、次世代を担う卓越した人材の育成を計
画的に実現できる公的な教育研究組織を確実に整備し、単に維持するだけでなく、その
機能の抜本的な強化が不可欠です。
わが国の再生と持続的発展を実現するために、今、国立大学は、
全国に満遍なく設置されている86国立大学は、それぞれの個性と特色を明確にしなが
ら、国際的な教育研究のネットワークの一員として、高度の教育研究とイノベーション
の推進に中核的な役割を果たすナショナルセンターとしての機能を更に徹底して強化
します。
〈ナショナルセンター機能の徹底的強化〉
同時に、地域の産業?経済活動、教育?文化?芸術?スポーツ活動、医療活動、歴史?文化の保
存?伝承など、地域振興の全般にわたって地域社会に不可欠なリージョナルセンターと
しての機能の抜本的な強化をはかります。
〈リージョナルセンター機能の抜本的強化〉
国立大学は、それぞれ次頁に示した機能を徹底的に強化し、各大学の個性と特色を最大
限に活かし、不退転の覚悟と決意をもって与えられた責務を果たしてまいります。
同時に、国立大学は、国立大学間だけでなく、国内外の教育研究機関や地域と相互に緊密
な連携と協力を図り、新たな可能性とより高いレベルの成果をもたらすことのできる
「有機的な連携共同システム」として稼働し、日本の希望ある未来と世界の人々が希求す
る安定的で持続的な社会の構築を導く原動力となるように、教育研究機能の抜本的な強
化を実現する覚悟です。
〈有機的な連携共同システムとしての機能強化〉
平成23年6月22日
一般社団法人国立大学協会
(表1)