日程
2021.03.24
「がんの増大を阻止する分子を新たに発見」に関する記者説明会を開催しました。
本学生化学?分子生物学講座(分子病態生化学部門)扇田久和教授、佐藤朗准教授らの研究グループと同泌尿器科学講座との共同研究により、細胞内に存在する分子ストマチンが、がんの増大を阻止することとそのメカニズムを新たに突き止めました。
研究内容は、2021年3月23日(日本は3月24日)付で米国癌学会学術誌「Cancer Research」電子版に公表されました。
本研究成果について、3月24日(水)、扇田教授と佐藤准教授から報道機関に対して説明を行いました。
本件の詳細(プレスリリース):/sites/default/files/2021-03/20210324press-release.pdf
研究成果のポイント
- ストマチンという細胞内に存在する分子は、腫瘍が大きくなっていくのに対してブレーキをかけていました。培養細胞とマウスを使った実験でこのブレーキは、がん細胞の増殖が弱くなり、がん細胞の細胞死(アポトーシス)が多くなっていることの2つから成り立っていることを見出しました。
- 逆に、がん細胞でストマチンの発現を少なくしてしまうと、腫瘍が大きくなるスピードが速まりました。
- 前立腺がんの患者さんで、がん細胞がストマチンを多く発現していると、手術後のがん再発が少なくなりました。
- ストマチンががんの増大を抑制する詳細なメカニズムとして、細胞内にある分子Aktに関連するシグナル伝達を抑制していることが分かりました。
- ストマチンががんの増大を阻止していることと、その詳細な分子メカニズムを世界で初めて明らかにしました。
- 今後、がん細胞でストマチンの発現を人為的に増加させる方法を開発することで、新たながん治療の発展につながる可能性があります。